カルチャーショック

カルチャーショック 団塊世代★メタモルフォーゼ

カルチャーショック

カルチャーショック


団塊世代は幾つもの
新しい生活文化の誕生に立会い
その度に様々なカルチャーショックを受けて育った
一寸軽薄なカルチャーショックの海を越えて
ずいぶんと遠くまでやってきたものだと思う

◆ ◆◆  ◆ ◆ ◆◆ ◆◆   ◆◆ ◆ ◆  ◆◆  ◆ ◆ ◆◆  ◆◆◆ ◆  ◆ ◆ ◆◆  ◆
 ***メニュー***

カルチャーショックという言葉は
一体何時ごろから使われるようになっただろうか

というのは
僕らの子供のころにはなかった言葉のように思うからだが

「異文化に触れた驚き」
と一言でいうだけでは伝えきれない心の沸き立ち

そして僕たち団塊世代は
このカルチャーショックの海を泳いで育ったのではなかったか

もちろん言葉の本来の意味で言えば
明治維新の日本人たちこそ
本当の異文化の衝撃の大波を乗り越えて
民族大移動したのかもしれないが

戦後の日本に起きたのは
維新の日本に負けず劣らずの
目眩く(めくるめく)体験の連鎖であったのは確かだった

まさに「カルチャーショック」と表現するしかない
ある意味軽くて薄っぺらい
腹持ちしないスナック菓子のような味わいだったと思う

一般に
カルチャーショックは
外国に行って出くわすものを指すのが普通だろうが

戦後日本の高度経済成長の時代にあっては
新しい商品の登場がそのまま新しい生活の様式を
引き連れてやってくる

新製品がそのままカルチャーショックなんである
CMというものがそのままカルチャーショックなんである

観音開きのテレビ受像機から始まって
冷蔵庫も自家用車も真っ白い洋式便器も

どれひとつを取ってみても
それまでの生活を根底から覆す力をあからさまに発揮した

今になって振り返ってみるとき
それがなかったときの生活が
どんなものだったのか

もはや思い出すこともなく
いつしか数十年のときを隔てた今になって

なんだか恐ろしいような不思議なような

今ある生活の当たり前が
ちっとも当たり前などではなく
夢のかなたの空想の未来都市の姿であった時代があった
本当についこの間までそうだった

ということにふと気づくときがある

携帯電話を印籠のように持ち歩き
インターネットのテレビ電話でチャットする
こんなことほんの数年前はあり得なかった

もうしばらくすれば間違いなく

喜寿米寿になった我々が
ガンダムよろしくロボットスーツを身に纏い
そのあたりを飛び回っていることになるだろう

今でも
そういう生活の不連続は
しばしば起こり続けているのであって

これからもかなり長い間
世の中というものは不安定なものなんだよと
言わざるを得ないような時代が続くであろうことは
ほとんど自明のようだ

だから僕ら団塊は基本的に軽薄である
そしてそれはかなりまずいことなんであると
自覚しておかないと、と

これもまた論理的に不連続だが
僕なんかは感覚的にそう思う

ちょっと話は跳ぶけれど
僕の高校時代にあった
小さなカルチャーショックの思い出

「進駐軍」の通訳をしていたという英語の先生
確かに日本人離れした流暢な巻き舌を駆使しては
英文解釈や英文法を講義してくれた

小柄ではあったが今で言うチョイ悪の雰囲気も漂わせたダンディで
他の先生がほとんど身なり構わぬ風情の中で
カラーシャツの襟元にスカーフを覗かせていたりして
ひとり小粋に靴や服装にも凝っている風だった

特別に何名か選抜して
特訓をしてくれようと

自宅に呼ばれて
英語の課外指導を受けることになったのだが

通された応接間にはまず「サイドボード」なるものが置かれてあった
中にあるのがブランデーVSOPとジョニ黒

その上に並べられた
英語の辞書や書籍に混じって
文学全集が並んでいた

思い起こせばそういう時代だった
「文学全集」が大抵の家の装飾品だった時代があったと思う

がしかし
ここでも件の先生は一味違っていたのである
「僕はロシア文学が好きなんだよ」

生徒の誰かが得意げに
「トルストイとか、ドストエフスキーとか、ですよね」

先生ちょっと鼻で笑って
「そういうのもいいかも知らんが」
「チェーホフのほうがもっといい」
「中でも一番いいのはプーシキンだな」

「プー?」何なんだそれは
こちらはこの前ちょっと無理して
「赤と黒」を読んではみたものの

正直なところ筋を追うのも辛かったんだが

こういうことも今だから言えるので
当時の風潮は
教養は必要不可欠、文学は教養の必修科目だったと思う

あっけにとられる僕らの前で
先生「くしゃん」とくさめをすると

すっと手を伸ばし
少しかさのある紙製の箱を手に取った

実はさっきからちょっと気になっていた薄桃色の箱であって
箱の上部から白いガーゼ様のものが三角に突き出している

先生その先端をつまむとさっと引き抜き
やおら洟をかんだ

僕が初めてティッシュペーパーというものを目撃した瞬間だった

今どきの「若い者たち」に
そのときの衝撃というものは
わかってはもらえないだろうなとは思うんですけどね



(本稿はe-bookに掲載のものを再録しました)
(e-bookはwww.dankainosedai.jpにてご案内中)

スポンサードリンク
 スポンサードリンク
    
  
 コンテンツメニュー
 団塊世代〜トップ

 団塊世代とは
 団塊世代の有名人
 団塊文化
 団塊夫婦
 団塊ジュニア

 2007年問題
 高度経済成長
 ビートルズ
 なつかしのメロディ
 全共闘

 村上春樹
 少年漫画
 ファッション
 メタモルフォーゼ

 カルチャーショック
 A男爵の大往生
 団塊世代とゴルフ
 団塊の世代2006
 団塊の世代2007
 団塊の世代2008

 エクセルで遊ぶ

 プロフィール

 リンク



Copyright (C) Dankai-Sedai All Rights Reserved